タイトル |
: Re: 食中毒菌と腐敗・食中毒の関係について |
記事No |
: 3341 |
投稿日 |
: 2018/10/18(Thu) 15:33 |
投稿者 |
: おっと |
>また、食中毒菌以外の菌による食品の腐敗・変敗は全て発酵によるものということでしょうか?
「発酵」という言葉をどのように定義するかによりますが、微生物の力によって食品が状態が変わり、お酒や漬物のように人間にとって好都合なものになるときを一般に「醗酵」といいます。ここで、微生物が増殖し物質の変化(例えば食品が酸っぱくなる乳酸発酵など)を起こすことを全て「発酵」と定義すれば「腐敗・変敗は全て発酵によるもの」ということもできるかと思います。
しかし、人間にとって好ましくない変化の場合は一般に「腐敗・変敗」といいますので、全て発酵というのは言い過ぎだと思います。
なお、食中毒原因菌も自身の栄養を賄うためには有機物を利用しています。ただ、セルロースやたんぱく質の分解能は低いようで、「腐敗したものを食べて食中毒になる。」といった感じではないようです。
自然界では、有機物はいろんな微生物の力によって分解され、腐敗して自然にかえり、分解物がまた、次の微生物の栄養源になるといった循環を行っています。それらを「発酵」という言葉だけで説明するのは分かりにくいかなと思います。
>どれだけ菌数が多くても……食中毒様症状は起こさないのでしょうか?
ということですが、菌数については次のような感じです。
食中毒菌の最少発症菌量は腸管出血性大腸菌は10個〜100個、カンピロバクターは400個〜500個、サルモネラ属菌は15個〜10万以上、ウェルシュ菌は100万個以上となっています。
これらの菌の最少発症菌量では食品の腐敗は認められません。新鮮だと思って食べてもあたるときはあたります。
一方、納豆などは大豆に納豆菌の塊がくっついているといっても良いくらいですが、美味しくいただけます。
一般の食品の菌数は
・LLミルクは無菌、普通の牛乳の菌数は1mlあたり300未満(基準では1mlあたり5万以下)
・発酵乳は乳酸菌数又は酵母数が1ml当たり
10,000,000以上残っていることが必要
・唐揚げなど加熱直後のものは普通、1gあたり300未満
・スーパーで販売されているサラダ類は 1gあたり300未満〜100万超え、野菜サラダ類は普通
1gあたり10万以上
例外はあるでしょうが、細菌数が1gあたり100万を超えると食べる際に異常を感じることがあるようです。
例えば、サラダの野菜の端の色が少し変わったものなどは
1gの菌数はゆうに100万は超えているでしょう。
--- 参考 ---
◇ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
https://kotobank.jp/word/%E7%99%BA%E9%85%B5-115005
◇ 生態系とその保全(炭素の循環・窒素の循環)【生物基礎】
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