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タイトル  鶏たたき
記事No  3196
投稿日 : 2017/01/18(Wed) 10:16
投稿者  てつ
表面を加熱しただけの、いわゆる「鶏肉のたたき」でカンピロバクターによる食中毒が発生し問題になっています。
これを避ける為、以下のような調理法で肉の表面の菌と内部のカンピロバクターの殺菌になると考えていますが、問題はありますでしょうか。(小規模飲食店での提供です)
東京都食品安全情報評価委員会報告書によると、カンピロバクターは50度7分で死滅とありますので長めに30分の設定にしています。

1、もも肉、胸肉など塊の状態で塩等で下味を付け1日冷蔵
2、塩を入れた熱湯で1分ボイル、冷水で急冷、水気を取り袋に密閉
3、袋ごと52度で湯煎、肉の芯温度50度到達後30分加熱、袋ごと冷水で急冷

タイトル  Re: 鶏たたき
記事No  3197
投稿日 : 2017/01/19(Thu) 21:27
投稿者  おっと
50℃7分で死滅とは、これのことですね。

2004年7月9日 カンピロバクター食中毒の発生を低減させるために〜正しい理解でおいしく食べる〜

東京都食品安全情報評価委員会 資料16
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/houkoku/files/report23.pdf

これを読むと
「検査条件:試料(一定量のカンピロバクターをリン酸緩衝液に添加)をPCR 反応用ミクロチューブに入れ、45℃から70℃の各温度に設定したヒートブロック内で一定時間加熱した後、氷冷。」とあります。
従って、この殺菌条件は菌液そのものでの試験と思うのですがどうでしょうか。

ひき肉の事例として次のデータがあります。
 50℃でのD値 = 5.90〜6.28 分 56℃でのD値 = 37.2 〜 57.8 秒 56℃でのD値 = 12.3 〜 21.1 秒

出典 熊谷進ら編 HACCP:衛生管理計画の作成と実践 改訂データ編,中央法規,2003,p95
以下も同じ本によります。

参考 D値は菌数を10分の1にする時間

こちらの数値を使うと、ささ身のカンピロバクター数が10^5/g 程度だとすると
6Dは 33分〜38分程ほどになり、30分間では少し不足するようです。

一方、ウェルシュ菌も鶏肉を汚染することが知られていますが、こちらは
調理済み食肉 51℃での世代時間は 0.51 時間 とされております。
ウェルシュ菌は30分あると菌数が2倍程度に増加する恐れがあります。

サルモネラ
 鶏ひき肉 55℃で D値 3.3分
 鶏肉クリーム煮 54.4 ℃ D値 5.07分 死滅 36分 (10^7/g)
 カスタード 54.4℃ で死滅 100分(10^7/g)

以上のとおり、全く問題がないとは言えないように思います。

タイトル  Re^2: 鶏たたき
記事No  3199
投稿日 : 2017/01/22(Sun) 18:17
投稿者  てつ
おっと様、お答えありがとうございます。

50度40分にすればカンピロバクターは殺菌できるが、
50度ではウェルシュ菌が増えてしまい、またサルモネラの殺菌にも不足ということですね。

例えば55度40分の設定にすると
諸々クリアできそうに思いますがいかがでしょうか?

趣旨は従来の鶏たたきに近い、またはこれまでにない食感の安全な商品を作り出すことにありますので、1度でも温度は低く設定したいところではありますが。

>  50℃でのD値 = 5.90〜6.28 分 56℃でのD値 = 37.2 〜 57.8 秒 56℃でのD値 = 12.3 〜 21.1 秒

56度が二つありますが、これはどちらか誤りでしょうか?

タイトル  Re^3: 鶏たたき
記事No  3202
投稿日 : 2017/01/24(Tue) 19:39
投稿者  おっと

> >  50℃でのD値 = 5.90〜6.28 分 56℃でのD値 = 37.2 〜 57.8 秒 56℃でのD値 = 12.3 〜 21.1 秒
>
> 56度が二つありますが、これはどちらか誤りでしょうか?

失礼しました 後ろの方は58℃でのデータです。

正 58℃でのD値 = 12.3 〜 21.1 秒

タイトル  Re^3: 鶏たたき
記事No  3203
投稿日 : 2017/01/24(Tue) 19:58
投稿者  おっと
てつ 様

今回の件、てつ様ご自身が飲食店で調理されるのでしたら、あまり心配はいらないのかもと思いますが、微生物について詳しくない方が調理される場合は、リスクがあると思います。
RED様も懸念されていますが、下味付けを行うと中心部まで菌が侵入すると考えられます。
筋膜に傷がないと膜面からの侵入は少ないでしょうが、血管が切断されていますので、スポンジみたいに中心部まで菌が侵入します。
従って、中心温度の測定が必須です。
また、加熱後にカットの工程が入るのでしょうが、私の経験では、営業中の狭い調理場で二次汚染を止めるのは不可能と思っています。

従って、調理場の設備や器具のふき取り検査や商品の細菌検査をしてみないと、リスクの程度が不明です。

また、この商品を工場形態で製造する場合などは食肉製品としての規制を受けませんか?

タイトル  Re^4: 鶏たたき
記事No  3204
投稿日 : 2017/01/25(Wed) 18:56
投稿者  RED
例えば鶏ささみの場合は、筋取りの作業が加熱工程前のいずれかの下処理段階でなされるでしょうから、作業工程も検証していただければと思います。

> てつ 様
>
> 今回の件、てつ様ご自身が飲食店で調理されるのでしたら、あまり心配はいらないのかもと思いますが、微生物について詳しくない方が調理される場合は、リスクがあると思います。
> RED様も懸念されていますが、下味付けを行うと中心部まで菌が侵入すると考えられます。
> 筋膜に傷がないと膜面からの侵入は少ないでしょうが、血管が切断されていますので、スポンジみたいに中心部まで菌が侵入します。
> 従って、中心温度の測定が必須です。
> また、加熱後にカットの工程が入るのでしょうが、私の経験では、営業中の狭い調理場で二次汚染を止めるのは不可能と思っています。
>
> 従って、調理場の設備や器具のふき取り検査や商品の細菌検査をしてみないと、リスクの程度が不明です。
>
> また、この商品を工場形態で製造する場合などは食肉製品としての規制を受けませんか?

タイトル  Re^4: 鶏たたき
記事No  3205
投稿日 : 2017/01/27(Fri) 20:35
投稿者  てつ
おっと様

> RED様も懸念されていますが、下味付けを行うと中心部まで菌が侵入すると考えられます。
> 筋膜に傷がないと膜面からの侵入は少ないでしょうが、血管が切断されていますので、スポンジみたいに中心部まで菌が侵入します。
> 従って、中心温度の測定が必須です。

例えば工程を、

1、もも肉、胸肉など塊の状態で塩を入れた熱湯で1分ボイル(湯温が下がらないように少量ずつ行う)、冷水で急冷、水気を取り下味調味料と袋に密閉、1日冷蔵

3、袋ごと56度湯煎、肉の芯温度55度到達後40分加熱し、袋ごと冷水で急冷
(芯温度を計って実験後、運用時は同条件で温度と時間で管理)

とすれば下味つけの段階では表面は殺菌されていることになりますので、リスク回避になりませんでしょうか。

また「6D」というお話をされていますが(D値の6倍、菌数が100万分の1になる時間という理解であってますか?)は一般に安全の目安とされるものだったりするのでしょうか。
この本を読んでから出直せ、でもかまいませんのでご教示いただけますと幸いです。

> また、この商品を工場形態で製造する場合などは食肉製品としての規制を受けませんか?

これはどのような意味でしょうか?(これまでの話は、小規模飲食店での提供を前提とした、店として胸をはって提供できる安全な商品の開発のための検討です)

タイトル  Re^5: 鶏たたき
記事No  3206
投稿日 : 2017/01/29(Sun) 22:39
投稿者  おっと
てつ 様

> とすれば下味つけの段階では表面は殺菌されていることになりますので、リスク回避になりませんでしょうか。

リスクがなくなることはないと思いますが、小さくはなりそうですね。

> また「6D」というお話をされていますが(D値の6倍、菌数が100万分の1になる時間という理解であってますか?)は一般に安全の目安とされるものだったりするのでしょうか。

考え方はそのとおりですね。カンピロバクターの菌数が1gあたり10個未満に収まるのではないかと推測しています。発症菌量が100個以上ですから、
下味付け前の予備加熱と合わせるとそれくらいの低減効果が期待できるのではと思います。
これは実際に調理してみて検査してみないと安全云々は言えないという風に考えています。

> これはどのような意味でしょうか?(これまでの話は、小規模飲食店での提供を前提とした、店として胸をはって提供できる安全な商品の開発のための検討です)

この調理法は一般に低温調理と言われているものだと思うのですが、この方法を参考に卸行為などを思いつかれる方がおいでの場合は、所轄の保健所へご相談いただいたらと思います。ローストビーフ類似ですので…。

過去に、原因食品が鶏のたたきと推定されたカンピロバクター食中毒を出した飲食店を調査した経験があるのですが、そこでは、鶏のから揚げで鶏肉を素手で扱い、調理用のシンクで手洗いをしたり、鶏肉のドリップがかかった恐れのあるまな板で付け合わせのレタスを切ったり、冷蔵庫の取っ手や水道のカランから大腸菌が検出されたりしていました。この施設が特に不衛生というわけではなく、手狭な調理場でたくさんのメニューをこなすと交差汚染を完璧に防止するのは難しいと思います。

てつ様も、出来ましたら、調理場の汚染調査や、出来上がり商品の細菌検査を実施され、検査結果により安全性を確認いただき、おいしい料理をお客様にご提供いただいたらと思います。

タイトル  Re: 鶏たたき
記事No  3198
投稿日 : 2017/01/21(Sat) 14:46
投稿者  RED
菌液を添加して試験していただくのが良いと思いますが、条件設定で幾つか気になるてん指摘させていただきます。

1 小規模飲食店ですので二次汚染対策の徹底。
カンピロバクター食中毒でも1事件あたりの患者数の多いものも散見され二次汚染対策も同様に考慮されるべきです。

2 下味付け
内部汚染を減少させるために肉塊は筋膜等に損傷の全くない状態が望ましいですが、下味付けとのバランスが問題となります。

3 加熱用と表示されている鶏肉を原料として使用することの検証
たたきという商品名(メニューの記載)が原料の表示に反することへの説明責任

以下の工程はおっと様の考察の通りと思います。

> 表面を加熱しただけの、いわゆる「鶏肉のたたき」でカンピロバクターによる食中毒が発生し問題になっています。
> これを避ける為、以下のような調理法で肉の表面の菌と内部のカンピロバクターの殺菌になると考えていますが、問題はありますでしょうか。(小規模飲食店での提供です)
> 東京都食品安全情報評価委員会報告書によると、カンピロバクターは50度7分で死滅とありますので長めに30分の設定にしています。
>
> 1、もも肉、胸肉など塊の状態で塩等で下味を付け1日冷蔵
> 2、塩を入れた熱湯で1分ボイル、冷水で急冷、水気を取り袋に密閉
> 3、袋ごと52度で湯煎、肉の芯温度50度到達後30分加熱、袋ごと冷水で急冷

タイトル  Re^2: 鶏たたき
記事No  3200
投稿日 : 2017/01/22(Sun) 18:21
投稿者  てつ
RED様 ご返答ありがとうございます。

> 1 小規模飲食店ですので二次汚染対策の徹底。
生肉を扱う行程は他と切り分け洗浄殺菌など徹底します。

> 2 下味付け
味染みのための肉に穴をあける等はせず、直接塩や調味料をすり込む、またはそれらの溶液に浸す方法をとりますが、これらにより筋膜に損傷が生じ肉内部が汚染される可能性が上がるということでしょうか?

> 3 加熱用と表示されている鶏肉を原料として使用することの検証
加熱用として販売されている肉を「鶏たたき」として出していいのか、ということでしょうか。
これまでの検討は安全性に問題のある従来の「鶏たたき」とは違う商品を作り出すためのものなので、それが伝わる商品名や説明が必要だと考えています。

タイトル  Re^3: 鶏たたき
記事No  3201
投稿日 : 2017/01/22(Sun) 23:25
投稿者  RED
2についてですが、カンピロバクターだけで言うのなら処理場で汚染され、2kgパック内で広がり、下味をつける工程でさらに汚染を広げることになるので、まずスタート地点を押さえておいてほしいという意味です。

培養するにも工夫が必要な菌ですから簡単には増えませんが、少量でも食中毒発症につながるのですから、筋肉内への浸潤を少しでも押さえておいてほしいということです。

その上で加熱条件を設定することには賛成です。

3はお見込みの通りです。メニュー表示の偽装でないことを、うまく表現することはなかなかに難しいと思いますが。

> RED様 ご返答ありがとうございます。
>
> > 1 小規模飲食店ですので二次汚染対策の徹底。
> 生肉を扱う行程は他と切り分け洗浄殺菌など徹底します。
>
> > 2 下味付け
> 味染みのための肉に穴をあける等はせず、直接塩や調味料をすり込む、またはそれらの溶液に浸す方法をとりますが、これらにより筋膜に損傷が生じ肉内部が汚染される可能性が上がるということでしょうか?
>
> > 3 加熱用と表示されている鶏肉を原料として使用することの検証
> 加熱用として販売されている肉を「鶏たたき」として出していいのか、ということでしょうか。
> これまでの検討は安全性に問題のある従来の「鶏たたき」とは違う商品を作り出すためのものなので、それが伝わる商品名や説明が必要だと考えています。


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