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タイトル 野菜の鮮度に関連したこと
記事No 67
投稿日 : 2004/01/08(Thu) 01:01
投稿者 Boss
鮮度を保つというのは、腐りにくくすると言う事でしょうか。腐るというのは、どのようなメカニズムなのでしょうか。どなたか分かりやすく、且つ、科学的?に教えて下さい。

タイトル Re: 野菜の鮮度に関連したこと
記事No 68
投稿日 : 2004/01/08(Thu) 01:03
投稿者 おっと
腐るというのは、生物の組織が分解し、土に還るということと考えると分かりやすいでしょう。蛋白分解酵素や澱粉分解酵素などによってタンパク質はアミノ酸に澱粉もブドウ糖などに分解され微生物の餌となります。細胞は軟化し、溶けたりもします。分解の途中でアンモニアなどを発生し、異臭をかもし出したりもします。

野菜の鮮度と腐敗という問題は分かりにくいですよね。新鮮な野菜を収穫した瞬間は収穫する前とかわりませんね。そのうちに、しなびたり色が変わったりして鮮度が落ちてきます。更に進むと自己消化して軟化してしまったり、異臭を放って腐敗してしまいます。鮮度の劣化と腐敗の間に一線を画するのは容易ではありません。

一方、リンゴの皮を剥いて放置すると酵素の働きで、リンゴが褐色になります。モヤシなども空気に触れていると褐色化します。こういった酵素的な変色は進行が早く、変色していても細菌はほとんど増加していないケースがあります。リンゴの場合は塩水につけると酵素の働きが阻害され変色しません。
また、変色してしまったものを漂白剤などで漂白すると見かけは新鮮になります。
この場合は、見かけの鮮度と細菌の繁殖具合とは関係ありません。「腐敗していても商品の見かけは白い」ということが起こる可能性があります。

食品に明瞭な防腐効果を持たないが一定の清菌作用を持つ添加物を使用した場合、鮮度保持剤使用という言葉がつかわれています。

タイトル Re^2: 野菜の鮮度に関連したこと
記事No 69
投稿日 : 2004/01/08(Thu) 01:05
投稿者 BOSS
大変的確な御回答ありがとうございます。宜しければ、もう少々お付き合いください。鮮度を保つということは、細菌の発生を抑え腐敗しにくくし、且つ変色しにくくする事、と理解して良いですか?きっと、難しい技術なのでしょうね

タイトル Re^3: 野菜の鮮度に関連したこと
記事No 70
投稿日 : 2004/01/08(Thu) 01:01
投稿者 おっと
そのとおりですね。生鮮野菜は細胞レベルでみるとまだ生きていますよね。一般には代謝を遅らせることで長生きさせ鮮度を維持することができます。
冷蔵を嫌う野菜でなければ、冷蔵保存することでその目的を簡単に達成することが出来ますが……。

また、果実でしたら、熟成を押さえるため、発生するアセチレンガスを吸収させたりすると思います。

ただ、作物によっては腐敗に至る道が複数存在し、見かけの鮮度低下と細菌学的腐敗との間に差があるようで(いわゆる酵素的褐変など)、一般にはこの辺りの差異が分かりにくいようにおもいます。

一方、鮮度保持剤といわれるものは、腐敗へ至る道を全面ストップさせる(例えば細菌の増殖を防止する防腐剤のように)のではなく、対症療法的なものが多いような気がします。例えば、水分の蒸発を押さえみずみずしく見させたり、酵素による褐変をおさえる、酵素反応阻害剤だったり、酸化を押さえる還元剤だったりするように思えます。

鮮度保持剤のなかには、一部の有機酸のように細菌の増殖をおさえるものもありますが、いづれ、その有機酸に耐性を持つ菌が増殖します。つまり、防腐剤のように強力でない代わり、毒性が少ないと思われるものもあり、その評価は相対的ともいえると思います。

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