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タイトル”検出するものであってはならない”ヒ素・鉛
記事No3656
投稿日: 2024/12/10(Tue) 13:53
投稿者へなちょこ
教えてください。
清涼飲料水の規格基準にヒ素・鉛は検出するものであってはならないとあり、
検査機関に分析していただくと分析結果は
”食品、添加物等の規格基準 第1 食品 D 各条 〇清涼飲料水の成分規格 (2)個別規格 3.ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水”
によって「適」となるのですが
この場合の「適」はどのくらいの量を目安と考えているのでしょうか。
検出限界が示されない理由も分かればご教示くださいませ。

タイトルRe: ”検出するものであってはならない”ヒ素・鉛
記事No3657
投稿日: 2024/12/11(Wed) 08:50
投稿者おっと
そうですね。以前、そのあたりを説明しているサイトがあったような気がするのですが、探してみましたが発見できませんでした。

清涼飲料水の成分規格 によると、次のようになっていますね。
https://www.mhlw.go.jp/content/000832226.pdf

1.ミネラルウォーター類(水のみを原料とする清涼飲料水をいう。以下同じ。)のうち殺菌又は除菌を行わないもの
   鉛 0.01 r/l以下であること。
   ヒ素 0.01 r/l以下であること。

2.ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うもの
   鉛 0.01 r/l以下であること。
   ヒ素 0.01 r/l以下であること。

3.ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水
   a ヒ素及び鉛を検出するものであってはならない。
     この場合のヒ素及び鉛の試験法は、次のとおりとする。
    (試験法省略)

> 「適」はどのくらいの量を目安と考えているのでしょうか。
試験法から目安が分かるはずですが、間違いそうです。
 どなたか、計算に強い方にお願いしたいです。

なお、次のような、過去の通知を見つけました。

○ 食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について(昭和五七年二月二七日)(環食第五三号・環食化第一一号)
一 清涼飲料水について
(一) 重金属等に関する試験法の検出限度は、ヒ素0.2ppm、鉛0.4ppm及びカドミウム0.1ppmであること。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta5607&dataType=1&pageNo=1

上の通知は改正されているようで、平成30年に次の文書が出ています。
◇ 清涼飲料水の規格基準の改正について (資料1− 5食 品 規 格 部 会平成 3 0 年9月7日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000350897.pdf





 

タイトルRe^2: ”検出するものであってはならない”ヒ素・鉛
記事No3658
投稿日: 2024/12/12(Thu) 19:02
投稿者へなちょこ
返信ありがとうございます。
分析会社の方にもお尋ねしたのですが、
ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水は「限度試験」で適か不適の判定になり、また比較用標準液の濃度はヒ素で4ppm、鉛は0.8ppmとのことでした。
他のミネラルウォーター類と比べてなぜこのようになっているのかはさすがに分析会社の方も分からないそうです。
検出限度と見比べると、分析会社の方のおっしゃる標準液濃度が合っているのかも不安になります。
計算にお強い方、宜しくお願いします。

タイトルヒ素の量の計算
記事No3662
投稿日: 2024/12/22(Sun) 14:41
投稿者おっと
試みに、許容量を計算してみましたが、合ってるでしょうか。

規格基準の検査法には
 ヒ素標準液:本液1mlは、三酸化二ヒ素(As2O3)1μgを含む。
 ヒ素標準原液:本液1mlは、三酸化二ヒ素(As2O3)0.1mgを含む。

ヒ素の検査は湿式分解法で行うことになっており、検体100gを湿式分解して水を加えて全量を50mlとし、これを試験溶液とする。検体の代わりに水を用いて同様の操作をしたものを空試験溶液とするとなっています。
ヒ素の検査は、湿式分解法で得られた試験溶液10mlを採ることになっていますので、これは検体20gに相当します。

次に、
試験溶液10mlを発生フラスコに採り、水を加えて25mlとし、(塩酸(1→2)5ml、ヨウ化カリウム溶液2ml及び塩化第一スズ溶液5mlを加え、室温で15分間放置する。次いで、この発生フラスコに砂状亜鉛3gを加え、直ちに吸収管及びガス誘導管を連結し、あらかじめジエチルジチオカルバミン酸銀ピリジン溶液3mlを入れた吸収受器を接続して20〜25℃で1時間放置する。次に、装置を外し、ガス誘導管内の液を吸収受器内の吸収液に合わせてよく混和した後、この吸収液を1pの吸収セルに採り、30分以内にジエチルジチオカルバミン酸銀ピリジン溶液を対照液として波長525nm付近で吸光度を測定する。
空試験溶液10mlにヒ素標準液4mlを加えた後、水を加えて25ml とした溶液について、試験溶液の場合と同様に操作して得られる吸光度を超えてはならない。

となっていることから、試験溶液10mlは空試験溶液10mlに対応していることが分かります。空試験溶液にヒ素標準液4mlと水を加えていることから、空試験液は三酸化二ヒ素(As2O3)4μgを含むことが分かります。

ここで試験溶液10mlは検体20gに相当しますので三酸化二ヒ素(As2O3)4μg/20g→0.2μ/g と比較していることになります。
三酸化二ヒ素(As2O3)の分子量は197.84139、ヒ素の二分子量は149.84319なのでヒ素の量としては
0.2×149.84319÷197.84139 =0.1514781007149212

つまり、ヒ素を約 0.15μg/g 以上検出してはならないということのようです。

タイトル鉛の量の計算
記事No3663
投稿日: 2024/12/22(Sun) 16:43
投稿者おっと
鉛についても計算してみましたが、合っているでしょうか。

鉛の検査法はヒ素と同じように試験溶液10mlに検体20gを含むように調整します。

【原子吸光光度法】

試験溶液及び空試験溶液それぞれ 10ml を採り、試験溶液の吸光度A及び空試験溶液の吸光度 Ab を測定する。


次に、鉛標準溶液1ml 及び水1ml を採り、0.5mol/l硝酸を加えて 10ml とした後、試験溶液の場合と同様に操作して標準溶液の吸光度 As 及び水の吸光度 Ao を測定する。

A―Ab の値はとりあえず試験溶液の鉛の量
As―Ao の値は標準溶液の鉛の量

ここで鉛標準溶液は:硝酸鉛 1.598gを1mol/l硝酸に溶かして 1,000ml とする。この溶液8ml を採り、0.5mol/l硝酸を加えて 1,000ml とする。
分かりやすく言うと硝酸鉛1.598gを1,000mlとし、この8mlを1,000mlとし、これを鉛標準液とする。
→ 鉛標準溶液 1mlは硝酸鉛を 1.598g × 8ml ÷1000ml ÷1000ml = 0.000012784 g/ml = 12.784 μg/ml 含む
 硝酸鉛の分子式は Pb(OCOCH3)2 組成式は C4H6O4Pb 分子量は 325.28804 鉛は 207.2 なので、
 鉛標準溶液 1ml は鉛を 12.784 μg/ml× 207.2 ÷ 325.28804 = 8.143074673141994 μg 含む
 吸光度測定には鉛標準溶液を10倍希釈して測定しているので、試料20g当たり0.814 μgと比較している。
 つまり、鉛を 約 0.04 μg/g 以上検出してはならないということのようです。

タイトルRe: 食品中の鉛について
記事No3664
投稿日: 2024/12/24(Tue) 23:42
投稿者おっと
コーデックス規格(Codex Alimentarius)の鉛の量についての記事を見つけました。

★ 食品中の鉛について

◇ 資料2 食品中の鉛について(厚労省 食品規格部会 令和4年12月26日) から一部抜粋します。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001031353.pdf

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(2)コーデックス規格(Codex Alimentarius)から
品目 最大基準値(mg/kg)
・果実ジュース(ベリー類及び小型果実類のみを原料としたものを除く) 0.03
・果実ジュース(ベリー類及び小型果実類のみを原料としたもの、グレープジュースを除く)0.05
・グレープジュース 0.04

ここで、先の清涼飲料水の規格基準から計算した鉛の許容限界は約 0.04 μg/gとしましたが、
これは 約 0.04 mg/kg と同値です。
この値は上のグレープジュースの最大基準値とほぼ同じになり、計算値が正しいことを示唆しているように思います。