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「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P53

第5 洗浄剤


A 洗浄剤(もつぱら飲食器の洗浄の用に供されることが目的とされているものを除く。以下この項において同じ。)の成分規格


1 洗浄剤(固型石けんを除く。以下この目において同じ。)は,つぎの試験法による試験(洗浄剤であつて液状のもの以外のものについては,(3) メタノールを除く。)に適合しなければならない。この場合において,試験に用いる水は,蒸留水とする。
(1) ヒ素
洗浄剤であつて高級脂肪酸塩および高級脂肪酸エステル系界面活性剤以外の界面活性剤を含まないもの(以下「脂肪酸系洗浄剤」という。)にあつては試料を水で30倍に希釈し,脂肪酸系洗浄剤以外の洗浄剤にあつては試料を水で150倍に希釈して,これを試料溶液とする。試料溶液100mlを蒸発ザラにとり水浴上で加熱して大部分の水分を蒸発させる。残留液を分解フラスコに移し,蒸発ザラを少量の水で洗い,洗液を分解フラスコに加える。これに硝酸10mlを加えてよく混和し,はじめおだやかに加熱し,激しい反応が終つた後放冷する。ついで硫酸5mlを加え,白煙が発生するまで加熱する。液がなおかつ色を呈するときは,冷後硝酸5mlを追加して加熱する。この操作を液が無色〜淡黄色となるまで繰り返す。冷後水を加えて50mlとする。この液20mlをとり,飽和シュウ酸アンモニウム溶液10mlを加え,再び白煙が発生するまで加熱する。冷後水を加えて20mlとし,これを試験溶液として,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の7 ヒ素試験法により試験を行うとき,その呈する色は,標準色より濃くてはならない。
試薬
硝酸 硝酸(特級)を用いる。
硫酸 硫酸(特級)を用いる。
シュウ酸アンモニウム シュウ酸アンモニウム(特級)を用いる。
(2) 重金属
(1)の試料溶液100mlを蒸発ザラにとり,水浴上で加熱して大部分の水分を蒸発させる。残留液を分解フラスコに移し,蒸発ザラを少量の水で洗い,洗液を分解フラスコに加える。これに硝酸10mlを加えてよく混和し,はじめおだやかに加熱し,激しい反応が終つた後,放冷する。ついで硫酸5mlを加え,白煙が発生するまで加熱する。液がなおかつ色を呈するときは,冷後硝酸5mlを追加して加熱する。この操作を液が無色〜淡黄色となるまで繰り返す。冷後水を加えて100mlとする。この液20mlを石英製の蒸発ザラにとり,はじめ水浴上で加熱して大部分の水分を蒸発させた後,直火上で注意して乾固する。必要があれば残留物に硫酸1mlを加え,引き続き加熱してほとんど白色となるまで灰化する。これに塩酸2mlおよび硝酸0.5mlを加え,水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(23→100)1mlおよび水15mlを加え,加熱して溶かす。冷後フェノールフタレイン・エタノール溶液(1→100)1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア水の溶液(1→3)を滴下した後,酢酸(3→50)2mlを加え,必要があればろ過し,ろ液をネスラー管にとり,水を加えて50mlとする。別に鉛標準液2mlをネスラー管にとり,酢酸(3→50)2mlおよび水を加えて50mlとし,これを比較標準液とする。両液に硫化ナトリウム試液2滴ずつを加えてよく混和し,5分間放置した後,両管を白色を背景として上方および側方から観察するとき,試験溶液の呈する色は,比較標準液の呈する色より濃くてはならない。
試薬
硝酸 硝酸(特級)を用いる。
硫酸 硫酸(特級)を用いる。
塩酸 塩酸(特級)を用いる。
アンモニア水 アンモニア水(特級)を用いる。
フェノールフタレイン・エタノール溶液 フエノールフタレイン(特級)1gをエタノール(95容量%,特級)100mlに溶かす。
酢酸 酢酸(特級)を用いる。
鉛標準液 第2 添加物の部C 試薬・試液等の項の3 標準液に規定する鉛標準液を用いる。
硫化ナトリウム試液 第2 添加物の部C 試薬・試液等の項の1 試薬・試液に規定する硫化ナトリウム試液を用いる。
(3) メタノール
試料100gに内部標準物質としてイソプロピルアルコール10gを加えて混和し,これを試験溶液とする。別に水でメタノール(1→1,000)100mlにイソプロピルアルコール10gを加えて混和し,これを標準溶液とする。
試験溶液および標準溶液のそれぞれ1?lにつき,つぎの操作条件でガスクロマトグラフイーを行なうとき,試験溶液のメタノールの示すピーク面積Aと内部標準物質の示すピーク面積ASの比A/ASは,標準溶液のメタノールの示すピーク面積A′と内部標準物質の示すピーク面積A′Sの比A′/A′S以下でなければならない。ただし,試験溶液と標準溶液のいずれについてもメタノールの示すピークの周辺の部分の感度は,内部標準物質の示すピークの周辺の部分の感度の32倍程度の同じ感度になるように感度の切替えを行なう。なお,ピーク面積は半値巾法により測定する。
操作条件
検出器 水素炎イオン化検出器
カラム充てん剤 170〜300?mのガスクロマトグラフイー用多孔性ポリマービーズを用いる。
カラム管 内径3〜4mm,長さ2〜3mのガラス管またはステンレス鋼管を用いる。
カラム管温度 130〜150℃の間の一定温度
試験溶液注入口温度 カラム管温度より30〜50℃高い一定温度
キヤリヤーガス 高純度窒素を用いる。イソプロピルアルコールが8〜10分で流出する流速に調整する。
試薬
イソプロピルアルコール イソプロピルアルコール(特級)を用いる。
メタノール メタノール(特級)を用いる。
(4) 液性
新たに煮沸し冷却した水を用いて(1)と同様に操作して得た試料溶液のpHは,ガラス電極pH計で測定するとき,脂肪酸系洗浄剤にあつては6.0〜10.5,脂肪酸系洗浄剤以外の洗浄剤にあつては6.0〜8.0でなければならない。
2 洗浄剤は,酵素または漂白作用を有する成分を含むものであつてはならない。
3 洗浄剤は,食品衛生法施行規則別表第1に掲げる香料以外の化学的合成品たる香料を含むものであつてはならない。
4 洗浄剤は,食品衛生法施行規則別表第1に掲げる着色料ならびにつぎに掲げる着色料以外の化学的合成品たる着色料を含むものであつてはならない。
インダントレンブルーRS(N・N′・ジヒドロ・1・2・1′・2′・アントラキノン・アジン)
ウールグリーンBS(4・4・ビス〔ジメチルアミノ〕・ジフエニルメチレン・〔2・ナフトール・3・6・ジスルホン酸一ナトリウム〕)
キノリンイエロー(2・〔2・キノリル〕・1・3・インダンジオン・ジスルホン酸二ナトリウム)
パテントブルーV(m・ヒドロキシ・テトラエチル・ジアミノトリフエニル・カルビノール・ジスルホン酸カルシウム)
5 洗浄剤であつてアニオン系界面活性剤を含むものにあつては,その生分解度は85%以上でなければならない。


B 洗浄剤の使用基準


1 脂肪酸系洗浄剤にあつては界面活性剤の濃度が0.5%以下,脂肪酸系洗浄剤以外の洗浄剤(もつぱら飲食器の洗浄の用に供されることが目的とされているものおよび固型石けんを除く。)にあつては界面活性剤の濃度が0.1%以下となるようにして使用しなければならない。
2 洗浄剤(もつぱら飲食器の洗浄の用に供されることが目的とされているものを除く。以下この目において同じ。)の使用に際しては,野菜または果実が5分間以上洗浄剤の溶液に浸せきされないようにしなければならない。
3 野菜もしくは果実または飲食器は,洗浄剤を使用して洗浄した後飲用適の水ですすがなければならない。この場合において,流水を用いる場合にあつては,野菜または果実については30秒間以上,飲食器については5秒間以上流水ですすぎ,ため水を用いる場合にあつてはため水をかえて2回以上すすがなければならない。