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「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P53
第4 おもちや
A おもちや又はその原材料の規格
1 うつし絵は,次の試験法による試験に適合しなければならない。
この場合において,試験に用いる水は蒸留水とする。
(1) 試験溶液の調製
うつし絵の着色されている部分を採り,その表面積1cm2につき2mlの割合の40℃に加温した水を採り,試料を浸した後,時計皿で覆い,40℃に保ちながら時々かき混ぜて30分間放置する。
(2) 試験
1.重金属
試験溶液20mlについて,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の4 重金属試験法により試験を行うとき,これに適合しなければならない。これに適合するとき,試験溶液中の重金属量は鉛として1?g/ml以下となる。
2.ヒ素
試験溶液20mlについて,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の7 ヒ素試験法により試験を行うとき,これに適合しなければならない。これに適合するとき,試験溶液中のヒ素量は三酸化二ヒ素として0.1?g/ml以下となる。
2 折り紙は,次の試験法による試験に適合しなければならない。
この場合において,試験に用いる水は蒸留水とする。
(1) 試験溶液の調製
試料の表面積1cm2につき2mlの割合の40℃に加温した水を採り,試料を浸した後,時計皿で覆い,40℃に保ちながら時々かき混ぜて30分間放置する。
(2) 試験
1.重金属
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の1の(2) 試験の1.重金属を準用する。
2.ヒ素
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の1の(2) 試験の2.ヒ素を準用する。
3 ゴム製おしやぶりは,第3 器具及び容器包装の部D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項の3 ゴム製の器具又は容器包装の目の(2) ゴム製ほ乳器具に定める試験法による試験に適合しなければならない。
4 おもちやの塗膜は,次の試験法による試験に適合しなければならない。
(1) 試験溶液の調製
おもちやから塗膜を削り取り,0.5mmメッシュ以下に粉砕したものを試料とする。ただし,粉砕できない弾性を有する樹脂等の塗膜は出来る限り細かくしたものを試料とする。試料約100mg以上を精密に量り,その50倍量の0.07mol/l塩酸を加え,遮光下37℃に保ちながら1時間振とうする。さらに37℃に保ちながら1時間放置した後,ろ過する。ただし,試料の量が10mg以上100mg未満である場合には0.07mol/l塩酸5mlを加えて試験を行う。また,試料が10mg未満の場合は試験を行わない。
0.07mol/l塩酸 塩酸HCl [K 8180, 特級]6.3mlに蒸留水を加えて1,000mlとする。
(2) 試験
1.カドミウム,鉛及びヒ素
カドミウム標準原液0.1ml,鉛標準原液0.1ml及びヒ素標準原液1.3mlを採り,0.07mol/l塩酸を加えて100mlとする。本液1mlはカドミウム,鉛及びヒ素各1?gを含む。この溶液を0.07mol/l塩酸を用いて希釈し,試験溶液と同様の方法により測定し,カドミウム,鉛及びヒ素それぞれの検量線を作成する。ただし,カドミウム標準原液,鉛標準原液及びヒ素標準原液は第3 器具及び容器包装の部C 試薬・試液等の項の4 標準溶液,標準原液で定めるものを用いる。
試験溶液について,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の3 原子吸光光度法又は9 誘導結合プラズマ発光強度測定法により,カドミウム,鉛及びヒ素のそれぞれの濃度を求め,次式により試料1g当たりの溶出量を求めるとき,カドミウムは75?g/g以下,鉛は90?g/g以下,ヒ素は25?g/g以下でなければならない。ただし,原子吸光光度法のヒ素の測定においては193.7nmの波長を用いる。
溶出量(?g/g)=((試験溶液濃度(?g/ml)×試験溶液量(ml))/試料量(g))×((100−補正値)/100)
この場合において,カドミウム及び鉛の補正値は30,ヒ素の補正値は60とする。
5 ポリ塩化ビニルを用いて塗装された塗膜にあつては,第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の4の目の試験法によるもののほか,次の試験法による試験に適合しなければならない。この場合において,試験に用いる水は蒸留水とする。
(1) 試験溶液の調製
塗装されたおもちや又はその試験片を試料とし,その表面積1cm2につき2mlの割合の40℃に加温した水に試料を浸した後,時計皿で覆い,40℃に保ちながら時々かき混ぜて30分間放置する。
(2) 試験
1.過マンガン酸カリウム消費量
試験溶液50mlに水を加えて100mlとしたものについて,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の1 過マンガン酸カリウム消費量試験法により試験を行い,次式により過マンガン酸カリウム消費量を求めるとき,その量は50?g/ml以下でなければならない。
過マンガン酸カリウム消費量(?g/ml)=((a−b)×0.316×f×1,000)/50
ただし,
a:本試験の0.002mol/l過マンガン酸カリウム溶液の滴定量(ml)
b:空試験の0.002mol/l過マンガン酸カリウム溶液の滴定量(ml)
f:0.002mol/l過マンガン酸カリウム溶液のファクター
2.蒸発残留物
試験溶液200〜300mlを採り,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の5 蒸発残留物試験法により試験を行うとき,その量は50?g/ml以下でなければならない。
6 ポリ塩化ビニルを主体とする材料を用いて製造された部分(塗膜を除く。)は,次の試験法による試験に適合しなければならない。この場合において,試験に用いる水は蒸留水とする。
(1) 試験溶液の調整
おもちや又はその試験片を試料とし,その表面積1cm2につき2mlの割合の40℃に加温した水に浸した後,時計皿で覆い,40℃に保ちながら時々かき混ぜて30分間放置する。
(2) 試験
1.過マンガン酸カリウム消費量
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の5の(2) 試験の1.過マンガン酸カリウム消費量を準用する。
2.重金属
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の1の(2) 試験の1.重金属を準用する。
3.カドミウム
試験溶液100mlに硝酸5滴を加え,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の3 原子吸光光度法又は9 誘導結合プラズマ発光強度測定法によりカドミウムの試験を行うとき,これに適合しなければならない。ただし,カドミウム標準溶液として,第3 器具及び容器包装の部C 試薬・試液等の項の4 標準溶液,標準原液に示すカドミウム標準溶液10mlに水を加えて100mlとし,硝酸5滴を加えたものを用いる。これに適合するとき,試験溶液中のカドミウム量は0.5?g/ml以下となる。
4.蒸発残留物
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の5の(2) 試験の2.蒸発残留物を準用する。
5.ヒ素
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の1の(2) 試験の2.ヒ素を準用する。
7 おもちやの可塑化された材料からなる部分は,フタル酸ジ―n―ブチル,フタル酸ビス(2―エチルヘキシル)又はフタル酸ベンジルブチルを0.1%を超えて含有してはならない。
8 食品衛生法施行規則第78条第1号に規定するおもちや(9の目に規定する部分を除く。)には,フタル酸ジイソノニルを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いてはならない。
9 食品衛生法施行規則第78条第1号に規定するおもちやのうち,乳幼児の口に接触することをその本質とする部分であつて可塑化された材料からなる部分は,フタル酸ジイソデシル,フタル酸ジイソノニル又はフタル酸ジ―n―オクチルを0.1%を超えて含有してはならない。
10 ポリエチレンを主体とする材料を用いて製造された部分(塗膜を除く。)は,次の試験法による試験に適合しなければならない。この場合において,試験に用いる水は蒸留水とする。
(1) 試験溶液の調製
おもちや又はその試験片を試料とし,その表面積1cm2につき2mlの割合の40℃に加温した水を採り,試料を浸した後,時計皿で覆い,40℃に保ちながら時々かき混ぜて30分間放置する。
(2) 試験
1.過マンガン酸カリウム消費量
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の5の(2) 試験の1.過マンガン酸カリウム消費量を準用して試験を行うとき,その量は10?g/ml以下でなければならない。
2.重金属
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の1の(2) 試験の1.重金属を準用する。
3.蒸発残留物
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の5の(2) 試験の2.蒸発残留物を準用して試験を行うとき,その量は30?g/ml以下でなければならない。
4.ヒ素
第4 おもちやの部A おもちや又はその原材料の規格の項の1の(2) 試験の2.ヒ素を準用する。
11 金属製のアクセサリーがん具のうち,乳幼児が飲み込むおそれがあるものは,次の試験法による試験に適合しなければならない。ここで,乳幼児が飲み込むおそれがあるものとは,次の図に示した寸法を持つ容器内に圧縮しない状態で置いたときに当該容器内に収まる大きさのものをいう。
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(1) 試験溶液の調製
試料を直径約40mmのビーカーに入れ,37℃に加温した0.07mol/l塩酸を試料が浸漬せきするまで加え,遮光して37℃で2時間放置した後,ろ過する。
0.07mol/l塩酸 塩酸 HCl [K 8180, 特級]6.3mlに蒸留水を加えて1,000mlとする。
(2) 鉛
鉛標準原液0.1mlを採り,0.07mol/l塩酸を加えて100mlとする。本液1mlは鉛1?gを含む。この溶液を0.07mol/l塩酸を用いて希釈し,試験溶液と同様の方法により測定し,鉛の検量線を作成する。ただし,鉛標準原液は第3 器具及び容器包装の部C 試薬・試液等の項4 標準溶液,標準原液で定めるものを用いる。
試験溶液について,第3 器具及び容器包装の部B 器具又は容器包装一般の試験法の項の3 原子吸光光度法又は9 誘導結合プラズマ発光強度測定法により,鉛の濃度を求め,次式により試料1g当たりの溶出量を求めるとき,鉛の溶出量は90?g/g以下でなければならない。
溶出量(?g/g)=((試験溶液濃度(?g/ml)×試験溶液量(ml))/試料量(g))×((100−補正値)/100)
この場合において,鉛の補正値は30とする。
12 1の目から6の目まで,10の目及び11の目に掲げる規定の方法に代わる方法で,それが規定の方法以上の精度のある場合は,その方法を用いることができる。ただし,その結果について疑いのある場合は,規定の方法で最終の判定を行う。
B おもちやの製造基準
1 おもちやの製造に際し,化学的合成品たる着色料を使用する場合は,食品衛生法施行規則別表第1に掲げる着色料以外の着色料を使用してはならない。ただし,次の試験法による試験に適合する場合は,この限りでない。
試料の着色されている部分を,その表面積1cm2につき2mlの割合の40℃に加温した水に浸した後,時計皿で覆い,40℃に保ちながら時々かき混ぜて10分間放置し,これを試験溶液とする。試験溶液50mlを内径20mm,外径24mm,底から栓の下面までの距離20cmで,5mlごとに50mlまで目盛りを付けたネスラー管に採り,白色を背景として上方及び側方から観察するとき,着色料の溶出が認められてはならない。