「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P13


○ 容器包装詰加圧加熱殺菌食品


1 容器包装詰加圧加熱殺菌食品(食品(清涼飲料水,食肉製品,鯨肉製品及び魚肉ねり製品を除く。)を気密性のある容器包装に入れ,密封した後,加圧加熱殺菌したものをいう。以下同じ。)の成分規格
容器包装詰加圧加熱殺菌食品は,当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得る微生物が陰性でなければならない。この場合の微生物の試験法は,次のとおりとする。
(1) 恒温試験
検体を容器包装のまま採取し,35.0°(上下1.0°の余裕を認める。)で14日間保持する。この間において容器包装の膨張の有無又は内容物の漏えいの有無を観察する。この場合容器包装の膨張の有無は約20°に冷却して観察するものとし,容器包装の膨張又は漏えいを認めたものは,当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得る微生物が陽性であるとみなす。
恒温試験で陰性の結果を得た検体については,細菌試験を行う。
(2) 細菌試験
1.試料の調製
恒温試験の結果陰性であつた検体について,その開封部の表面をアルコール綿でよくふき,滅菌した器具を用いて開封し,その内容物(内容物の全部又は一部が固形状のものである場合は,滅菌ハサミ等を用いて細切する。)の全部を無菌的に混合した後,その25gを無菌的に採り,滅菌リン酸緩衝希釈水225mlを加えて細砕する。その1mlを滅菌ピペツトを用いて滅菌試験管に採り,滅菌リン酸緩衝希釈水9mlを加えてよく混和し,これを試料とする。
2.試験法
試料を1mlずつ5本のチオグリコール酸塩培養基に接種し,35.0°(上下1.0°の余裕を認める。)で48時間(前後3時間の余裕を認める。)培養する。この場合,培養基のいずれかに菌の増殖を認めたものは陽性とする。
チオグリコール酸塩培養基 L―シスチン0.5g,ブドウ糖5g,酵母エキス5g,ペプトン15g,チオグリコール酸塩0.5g,食塩2.5g,レサズリン0.001g及び粉末寒天0.8gを精製水1,000mlに加えて加温溶解し,これをpH7.0〜7.2に修正し,試験管に10mlずつ分注した後,121°で15分間滅菌する。


2 容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準
(1) 製造に使用する野菜等の原料は,鮮度その他の品質が良好なものでなければならない。
(2) 製造に使用する野菜等の原料は,必要に応じ十分に洗浄したものでなければならない。
(3) 製造に当たつては,保存料又は殺菌料として用いられる化学的合成品たる添加物(次亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用してはならない。
(4) 缶詰食品又は瓶詰食品以外の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の容器包装の封かんは,熱溶融又は巻締めにより行わなければならない。
(5) 製造の際に行う加圧加熱殺菌は,自記温度計を付けた殺菌器で行い,自記温度計によるその記録は3年間保存しなければならない。
(6) 製造の際に行う加圧加熱殺菌は,次の二つの条件に適合するように加圧加熱殺菌の方法を定め,その定めた方法により行わなければならない。
1.原材料等に由来して当該食品中に存在し,かつ,発育し得る微生物を死滅させるのに十分な効力を有する方法であること。
2.そのpHが4.6を超え,かつ,水分活性が0.94を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品にあつては,中心部の温度を120°で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること。
(7) 加圧加熱殺菌後の冷却に水を用いるときは,飲用適の流水で行うか,又は遊離残留塩素を1.0ppm以上含む水で絶えず換水をしながら行わなければならない。
(8) 製造に使用する器具は,十分に洗浄したうえ殺菌したものでなければならない。

参考:
  食品衛生法施行規則 第二表示 フ