「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P13

○ 即席めん類


1 即席めん類(めんを油脂で処理したものに限る。以下この項において同じ。)の成分規格
即席めん類は,めんに含まれる油脂の酸価が3を超え,又は過酸化物価が30を超えるものであつてはならない。この場合の酸価及び過酸化物価の測定法は,次のとおりとする。
1.試薬・試液
次に示すもの以外は,第2,添加物の部C 試薬,試液等の項に示すものを用いる。以下同じ。
精製エーテル:適量のエーテルを分液ロートに採り,これに用時調製した2%硫酸第一鉄溶液をエーテルの約5分の1容量加え,よく振り混ぜた後,水層を捨てる。この操作を2%硫酸第一鉄溶液の水層が黄褐かつ色を呈しなくなるまで数回繰り返す。次いで,エーテルの約5分の1容量の水で2〜3回洗つた後,エーテル層を分取し,無水硫酸ナトリウムを加えて脱水する。脱水後,エーテルを蒸留フラスコに移し,分留管を付けて蒸留する。初留液約10%を捨てた後,フラスコ内のエーテルが約10%残存するよう留液を集め,密栓せんできる遮しや光容器に入れ,これに硫酸第一鉄(結晶)及び水酸化ナトリウム(粒状)をそれぞれ少量加えて,冷暗所に保存する。
エタノール・エーテル混液(1:2):使用直前にフエノールフタレイン試液を指示薬として,30秒間持続する淡紅色を呈するに至るまで0.1mol/lエタノール製水酸化カリウム溶液を加える。
2.試料の調製
めんの必要量(酸価及び過酸化物価の試験を行うに必要な試料が得られるに適当な量)を採り,これを粉砕又は細切して共栓せん三角フラスコに入れ,めんが浸る程度に精製エーテルを加える。これをときどき振り混ぜながら約2時間放置した後,検体の固形物が流出しないようにろ紙を用いてろ過し,更にフラスコ中の検体に精製エーテルを先の約半量を加えて振り混ぜた後,同じろ紙を用いてろ過する。このろ過した両液を分液ロートに移し,ろ過した液の約2分の1ないし3分の1容量の水を加えてよく振り混ぜて洗い,水層を捨てる。この操作を2回繰り返した後,エーテル層を分取する。分取したエーテル層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後,窒素又は二酸化炭素を通じながら水温40°以下の水浴上で減圧下でエーテルを完全に除去し,残留物を試料とする。この試料は,密栓せんできる容器に入れ窒素で置換後,氷室中で保存する。
3.酸価の測定法
試料約10gを精密に量り採り,共栓せん三角フラスコに入れてエタノール・エーテル混液(1:2)100mlを加えて溶解する。これに,フエノールフタレイン試液を指示薬として,30秒間持続する淡紅色を呈するまで0.1mol/lエタノール製水酸化カリウム溶液で滴定する。
酸価は次式により求める。
酸価=(5.611×a×F)/S
ただし,
S:試料の採取量(g)
a:0.1mol/lエタノール製水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1mol/lエタノール製水酸化カリウム溶液の力価
4.過酸化物価の測定法
試料約5gを精密に量り採り,共栓せん三角フラスコに入れてクロロホルム・酢酸混液(2:3)35mlを加えて溶解する。均一に溶解しないときは,更にクロロホルム・酢酸混液(2:3)を適当に加える。次いで,フラスコ内の空気を窒素又は二酸化炭素で置換し,窒素又は二酸化炭素を通じながら飽和ヨウ化カリウム溶液1mlを加え,直ちに共栓せんをして約1分間振り混ぜた後,暗所に常温で約5分間放置する。これに水75mlを加え,激しく振り混ぜた後,デンプン試液を指示薬として,0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。別に同様に操作して空試験を行い補正する。
過酸化物価は次式により求める。
過酸化物価(meq/kg)=((a×F)/S)×10
ただし,
S:試料の採取量(g)
a:0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)
F:0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の力価


2 即席めん類の保存基準
即席めん類は,直射日光を避けて保存しなければならない。