「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P10


○ 粉末清涼飲料


1 粉末清涼飲料の成分規格


(1) 飲用に際して使用される倍数の水で溶解した液が第1 食品の部D 各条の項の○ 清涼飲料水の1 清涼飲料水の成分規格の(1)および(2)に適合しなければならない。


(2) ヒ素,鉛及びカドミウムを検出するものであつてはならない。また,スズの含有量は150.0ppmを超えるものであつてはならない。
この場合のヒ素,鉛,カドミウム及びスズの試験法は,次のとおりとする。
1.試験溶液の調製
試験溶液の調製は,aに示す湿式分解法又はbに示す乾式灰化法により行う。ただし,ヒ素の試験にあつては,aに示す湿式分解法により行う。
a 湿式分解法
飲用に際して使用される水の倍数で100gを除した量の検体を採り,これを分解フラスコに移し,水30mlを加えて溶かした後,硝酸20ml及び硫酸10mlを加え,加熱しながら硝酸1〜2mlを時々補充し,溶液がほとんど無色又は淡黄色となるまで加熱を続ける。いつたん冷却した後,水10ml及びシュウ酸アンモニウム溶液10mlを加え,フラスコの頚けい部に白霧が現われるまで加熱する。冷後,水を加えて全量を50mlとし,これを試験溶液とする。別に,検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作し得られた溶液を空試験溶液とする。
b 乾式灰化法
飲用に際して使用される水の倍数で50gを除した量の検体を採り,450〜500°でほとんど白色の灰分が得られるまで加熱する。冷後,塩酸(1→2)5mlを静かに注加して溶かした後,水浴上で蒸発乾固する。冷後,1mol/l塩酸に溶かして全量を25mlとし,これを試験溶液とする。別に,検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作して得られた溶液を空試験溶液とする。
2.ヒ素,鉛,カドミウム及びスズの試験法
ヒ素の試験法は第1 食品の部D 各条の項○ 清涼飲料水の1 清涼飲料水の成分規格の目の(3)の2.ヒ素の試験法を,鉛及びカドミウムの試験法は同目の(3)の3.鉛及びカドミウムの試験法を,スズの試験法は同目の(3)の4.スズの試験法を準用する。


(3) 乳酸菌を加えない粉末清涼飲料にあつては,大腸菌群が陰性であり,細菌数が検体1gにつき3,000以下でなければならない。
この場合の大腸菌群試験法および細菌数の測定法は,つぎのとおりとする。
1.検体の採取および試料の調製
容器包装の表面をアルコール綿でふき,滅菌した器具を用いて開封し,その内容のうち10gを無菌的に滅菌試料びんにとり,滅菌リン酸緩衝液を加えて100mlとし,密栓せんして(発泡性のものにあつては,かきまぜて二酸化炭素を発散させた後密栓せんして)よくふりまぜ,これを試料原液とする。
2.大腸菌群試験法
試料原液の10mlおよび1mlならびに10倍液1mlをとり,これを試料として,第1食品の部C 食品一般の保存基準の項の1の(2) 大腸菌群試験法によつて行なう。
3.細菌数(生菌数)の測定法
試料原液,10倍液,100倍液および1,000倍液を検体として,第1 食品の部D 各条の項の○ 氷雪の成分規格の(2)の2.細菌数(生菌数)の測定法によつて行なう。


(4) 乳酸菌を加えた粉末清涼飲料にあつては,大腸菌群が陰性であり,細菌数(乳酸菌を除く。)が検体1gにつき3,000以下でなければならない。
この場合の大腸菌群試験法および細菌数の測定法は,つぎのとおりとする。
1.検体の採取および試料の調製
(3)の1.検体の採取および試料の調製の操作と同様の操作で行なう。
2.大腸菌群試験法
(3)の2.大腸菌群試験法によつて行なう。
3.細菌数(生菌数。ただし,乳酸菌を除く。)の測定法
a 試料原液,10倍液,100倍液および1,000倍液のそれぞれについて,滅菌ペトリザラを2枚以上用意し,これにそれぞれの検液を各1mlずつ正確に滅菌ピペットでとり,これに加温溶解して43〜45°に保持した1.0?g/mlペニシリンGカリウム添加ブドウ糖加寒天培地約15mlを加え,静かに回転または前後左右に傾斜して混合し,冷却凝固させる。検液をペトリザラにとつてから培地を注加するまでに20分間以上経過してはならない。
培地が凝固したならば,これを倒位でフ卵器にいれる。
この場合,検液を加えないで希釈用液1mlと培地とを混合したものを対照とし,ペトリザラ,希釈用液および培地が無菌でかつ操作が完全であつたことならびに検液とペニシリンGカリウムを添加しないブドウ糖加寒天培地とを混合したものを対照とし,乳酸菌が1.0?g/mlのペニシリンGカリウムで完全に抑えられたことを確かめなければならない。
ペトリザラは直径9〜10cm,深さ1.5cmとする。
培養温度は35°(上下1.0°の余裕を認める。)とし,培養時間は24時間(前後2時間の余裕を認める。)とする。
ペニシリンGカリウム添加ブトウ糖加寒天培地 ブドウ糖5〜10gを少量の水に溶かしておき,これに加温溶解した2.5〜3.0%の普通寒天培地を注加し混合し,分注した後121°で15分間滅菌する。なお,ペニシリンGカリウムは平板作製直前に培地に添加し,混合するものとする。
b 試料原液,10倍液,100倍液および1,000倍液のそれぞれについて,滅菌ペトリザラを2枚以上用意し,これにそれぞれの検液を各1mlずつ正確に滅菌ピペットでとり,これに加温溶解して43〜45°に保持した4%塩化ナトリウム含有B.C.P.加プレートカウント寒天培地約15mlを加え,静かに回転または前後左右に傾斜して混合し,冷却凝固させる。検液をペトリザラにとつてから培地を注加するまでに20分間以上経過してはならない。
培地が凝固したならば,これを倒置し35°(上下1.0°の余裕を認める。)で24時間(前後2時間の余裕を認める。)培養する。
この場合,検液を加えないで希釈用液1mlと培地を混合したものを対照とし,ペトリザラ,希釈用液および培地の無菌であつたことならびに操作が完全であつたことを確かめなければならない。
ペトリザラは直径9〜10cm,深さ1.5cmとする。
4%塩化ナトリウム含有B.C.P.加プレートカウント寒天培地 酵母エキス2.5g,ペプトン5g,ブドウ糖1g,塩化ナトリウム40gおよび粉末寒天15gを水1,000mlに加えて加熱溶解し,pH6.8〜7.0に修正し,これにB.C.P.を0.004〜0.006%の割合に加えて121°で15分間滅菌する。
c aの培養において算定した細菌数とbの培養において算定した細菌数を合計した数を求める細菌数とする。
細菌数の算定方法は,(3)の3.細菌数(生菌数)の測定法に準ずる。


2 粉末清涼飲料の製造基準
粉末清涼飲料の容器包装は,適当な方法で洗浄され,乾燥されたガラスびん,金属製容器包装,合成樹脂製容器包装(紙製またはセロフアン製の容器包装であつて,合成樹脂で全面に積層加工したものを含む。)または金属製もしくは合成樹脂製の運搬器具に収めて,密栓せんもしくは密封するかまたは防じん,防湿および防虫できるようにしたものでなければならない。ただし,洗浄したことと同一の効果がある製造方法で製造される容器包装であつて,使用されるまでに汚染されるおそれのないように取り扱われたものについては,洗浄することを要しない。


3 コツプ販売式自動販売機に収める粉末清涼飲料の保存基準
コツプ販売式自動販売機に収める粉末清涼飲料は,2 粉末清涼飲料の製造基準に定める措置を講じて保存されなければならない。