(2023/05/28 最終更新)
資料 40 ヒスタミンによる食中毒 2018年〜2022年
2020年4月-5月に発出された新型コロナの「緊急事態宣言」以降、外出の自粛などが求められていましたが、2023年5月8日から新型コロナが感染法上の5類に変更になりました。
新型コロナの自粛の影響で2021年は食中毒の発生件数が近年まれにみる件数へ減少したことは御存知のとおりです。
ヒスタミン食中毒の主要な原因魚であったマグロは、漁獲地での衛生水準の向上や中国の需要増などによる価格上昇の影響か発生件数が減少しているようです。
魚種別の変化を表1にまとめました。年ごとの件数の推移を下図に示しました。表1 魚種別年次変化
2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 計 ブリ 1 3 2 2 8 サバ 3 2 3 1 9 カジキマグロ 1 3 4 マグロ 4 1 1 6 アジ 2 1 1 4 シイラ 2 2 4 イワシ 1 1 カツオ 1 1 2 サンマ 2 1 3 不明 4 2 6 計 20 8 13 4 2 47
備考:
1 データの出所:厚生労働省の食中毒統計から作成しました。
2 魚種については、原因食品として記載された名前であり、分類学的な正確さには欠けると思われます。
なお、便宜上次のようにしました。
ブリはツバス、ワラサ、イナダ、ハマチを含む。イワシはウルメイワシを含む。マグロはキハダマグロを含む。アジはムロアジ及びメアジ。
3 詳しくは、別添資料をご覧ください。 1996年から2022年までのヒスタミン食中毒事例一覧などの管理人作成資料があります。
参考 ヒスタミン食中毒を予防するには?
特徴
☆ ヒスタミン食中毒は、魚肉などに存在するアミノ酸の一種であるヒスチジンから、微生物(ヒスタミン産生菌)によって産生蓄積されたヒスタミンによるアレルギー様食中毒である。
☆ 喫食して30分から1時間後に顔面紅潮(特に口のまわりや耳たぶが紅潮)、じんま疹、頭痛、発熱といったアレルギー様の症状が出る。概ね6時間から10時間で回復する。
☆ 一般 的には、魚肉中に50mg/100g以上のヒスタミンが蓄積されると食中毒が起こるとされていますが、感受性の高い人ならば5mg/100gで発生する場合もあります。
☆ 低温好塩性菌のP.phosphoreum は、2.5℃貯蔵の魚肉中に多量(61〜144mg/100g)のヒスタミンをつくることが確認されており、低温であっても長期間の保存は危険である
予防のためには
○ 新鮮な魚を購入すること。
○ 保存するときは冷凍し、長期間の冷蔵を避けること。絶対に室温で放置しないこと。
○ 塩干ものは乾燥させるための時間、漬け魚(照り焼きやまぐろ生姜など)には調味液が浸透するための時間が必要でハイリスク食品です。特に原料魚の鮮度が要求されます。
○ 一度産生され、蓄積されたヒスタミンは加熱によって分解できないので、古くなったと思ったら食べないこと。
○ 魚介類および魚介加工品の検食のとき、唇や舌先にピリピリとした刺激を感じた場合は、ヒスタミンが産生されているおそれがあるので速やかに給食を中止する。
参考:
資料 15 ヒスタミンによる食中毒事例(魚種別年次変化) 2000年〜2009年