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(作成 2017/07/25)

資料37 カンピロバクター食中毒 事件数の推移(平成8年〜平成28年)



(1)年次別推移


食中毒事件数の推移を 食中毒事件一覧速報 - 厚生労働省 - をもとにグラフ化しました。



 カンピロバクター食中毒は患者数1名として届けられることも多く、自治体により事件の捕捉率が異なります。
 患者数1名事例が近年少なくなってきており、表面上は事件数は横ばいであるように見えます。
 この辺りの事情については資料4を参照ください。
 下は、患者数1名事例を除外したデータで事件数の推移を見たものです。




事件数は右肩上がりを続けているが、2008年(平成20年)にピークがあり2009年は大幅に減少しました。
これは2008年に農薬入り中国産冷凍餃子事件があり、食の安全に対する関心が高まり、体調不良時などの保健所への届け出が増加し事件の捕捉数が増えたものと考えられます。
また、20011年のユッケ事件により肉の生食の危険性が喧伝され、牛の生レバー、牛ユッケの自粛により2012年(平成24年)〜2013年と事件数が減少しました。
しかし、肉の生食の対象が禁止されていない鶏肉に移り2014年から急激に増加しています。

(2)地域別事件数の推移

かなり前から大阪府では全国平均に比べカンピロバクター食中毒が多発していましたので、地域の事件数の推移を見てみました。
鶏肉の生食の習慣がある鹿児島を含む九州と大阪、比較のために愛知県、東京都、東北、北海道を追ってみました。

グラフから1998年頃までは九州と大阪府の割合が多くなっています。1999年頃から東京都でも増加し東北も増えています。
個別の発生事例を見ると2011年の牛ユッケによる腸管出血性大腸菌による集団食中毒事件発生後の牛の生レバー禁止までは牛肉が汚染源と見られる事例が多くありました。
その後、全国的に鶏肉の生食が流行し、カンピロバクター食中毒の発生件数の増加を見ています。
東京都では2016年に発生件数の低下がみられ、行政の指導の効果がみられるようですが、九州や大阪府では増加を続けています。
ちなみに、2004年が谷間になっています。この年は1月に鳥インフルエンザが発生し鶏肉が不安視された年です。鶏が大量に処分され流通量が減少した影響も考えられます。
参考までに食品衛生に関連した事件の年表を次に示しました。

参考:食品衛生関連年表

1996年 平成08年 7月 堺市学校給食による腸管出血性大腸菌食中毒事件
1998年 平成10年 5月上旬〜6月中旬 いくらの醤油漬けによる腸管出血性大腸菌食中毒
1999年 平成11年 3月〜8月 乾燥イカによるサルモネラ食中毒
2000年 平成12年 6月〜7月 雪印低脂肪牛乳によるブドウ球菌食中毒
2004年 平成16年 1月 山口県、大分県、京都府で高病原性鳥インフルエンザ発生
2005年 平成17年 1月 高齢者施設でのノロウイルス集団発生に伴い死者6名
2006年 平成18年 12月 ノロウイルスG2U4の大流行
2007年 平成19年 6月 牛肉ミンチの品質表示偽装事
2008年 平成20年 1月 中国産冷凍餃子農薬汚染事件
2009年 平成21年 5月 国内初の新型インフルエンザ感染確認、手洗いの重要性PR
2011年 平成23年 4月〜5月 焼肉チェーン店でユッケの腸管出血性大腸菌O111による食中毒
6月 ヒラメのクドア、馬肉のサルコシスティス 食中毒に指定
9月 生食用食肉の規格基準制定
10月 生食用食肉の表示基準
2012年 平成24年 7月 牛の生レバー禁止
8月 白菜切り漬けによるO157
12月ノロウイルスGU4の流行
2013年 平成25年 12月 アクリフーズ群馬工場製造の冷凍食品に農薬のマラチオンが混入される事件が発生。
2014年 平成26年 7月 冷やしキュウリによる腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件
2015年 平成27年 1月〜3月ノロウイルスGU17の流行
6月 豚の肉や豚レバーの生食用としての販売禁止
2016年 平成28年 5月 肉のフェスティバルで提供した鶏ささみ寿司等によるカンピロバクター食中毒




資料1 食中毒事件一覧速報 - 厚生労働省 - 

資料2 食中毒発生状況(全国:昭和56年〜平成21年、広島市:平成12年〜平成21年)

資料3 食品由来急性下痢症患者数の推定について

資料4 カンピロバクター食中毒事例(年次変化) 2001年〜2008年

補足: