「食品、添加物等の規格基準」(昭和三十四年十二月二十八日)(厚生省告示第三百七十号) P11〜P12

○ 食肉製品

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目次

1 食肉製品の成分規格
 (1) 一般規格
 (2) 個別規格
   1.乾燥食肉製品
   2.非加熱食肉製品
   3.特定加熱食肉製品
   4.加熱食肉製品のうち,容器包装に入れた後加熱殺菌したもの
   5.加熱食肉製品のうち,加熱殺菌した後容器包装に入れたもの

2 食肉製品の製造基準
 (1) 一般基準
 (2) 個別基準
   1.乾燥食肉製品
   2.非加熱食肉製品
     a 肉塊のみを原料食肉とする場合
     b 肉塊のみを原料食肉とする場合以外の場合
   3.特定加熱食肉製品
   4.加熱食肉製品
   5.上記以外

3 食肉製品の保存基準
 (1) 一般基準
 (2) 個別基準
   1.非加熱食肉製品
   2.特定加熱食肉製品
   3.加熱食肉製品

参考:
 食品衛生法 施行規則 【表示】
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○ 食肉製品


1 食肉製品の成分規格
(1) 一般規格
食肉製品は,その1kgにつき0.070gを超える量の亜硝酸根を含有するものであつてはならない。
(2) 個別規格
1.乾燥食肉製品(乾燥させた食肉製品であつて,乾燥食肉製品として販売するものをいう。以下同じ。)は,次の規格に適合するものでなければならない。
a E.coli(大腸菌群のうち,44.5°で24時間培養したときに,乳糖を分解して,酸及びガスを生ずるものをいう。以下同じ。)陰性でなければならない。
b 水分活性が0.87未満でなければならない。
2.非加熱食肉製品(食肉を塩漬けした後,くん煙し,又は乾燥させ,かつ,その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法による加熱殺菌を行つていない食肉製品であつて,非加熱食肉製品として販売するものをいう。ただし,乾燥食肉製品を除く。以下同じ。)は,次の規格に適合するものでなければならない。
a E.coliが,検体1gにつき100以下でなければならない。
b 黄色ブドウ球菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。
c サルモネラ属菌(グラム陰性の無芽胞性の桿かん菌であつて,アセトイン陰性,リジン陽性,硫化水素陽性及びONPG陰性で,ブドウ糖を分解し,乳糖及び白糖を分解しない,運動性を有する通性嫌気性の菌をいう。以下同じ。)陰性でなければならない。
3.特定加熱食肉製品(その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法以外の方法による加熱殺菌を行つた食肉製品をいう。ただし,乾燥食肉製品及び非加熱食肉製品を除く。以下同じ。)は,次の規格に適合するものでなければならない。
a E.coliが,検体1gにつき100以下でなければならない。
b クロストリジウム属菌(グラム陽性の芽胞形成桿かん菌であつて亜硫酸を還元する嫌気性の菌をいう。以下同じ。)が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。
c 黄色ブドウ球菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。
d サルモネラ属菌陰性でなければならない。
4.加熱食肉製品(乾燥食肉製品,非加熱食肉製品及び特定加熱食肉製品以外の食肉製品をいう。以下同じ。)のうち,容器包装に入れた後加熱殺菌したものは,次の規格に適合するものでなければならない。
a 大腸菌群陰性でなければならない。
b クロストリジウム属菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。
5.加熱食肉製品のうち,加熱殺菌した後容器包装に入れたものは,次の規格に適合するものでなければならない。
a E.coli陰性でなければならない。
b 黄色ブドウ球菌が,検体1gにつき1,000以下でなければならない。
c サルモネラ属菌陰性でなければならない。


2 食肉製品の製造基準
(1) 一般基準
食肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。
1.製造に使用する原料食肉は,鮮度が良好であつて,微生物汚染の少ないものでなければならない。
2.製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,衛生的な場所で行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,飲用適の流水で行わなければならない。
3.食肉は,金属又は合成樹脂等でできた清潔で洗浄の容易な不浸透性の容器に収めなければならない。
4.製造に使用する香辛料,砂糖及びでん粉は,その1g当たりの芽胞数が,1,000以下でなければならない。
5.製造には,清潔で洗浄及び殺菌の容易な器具を用いなければならない。
(2) 個別基準
1.乾燥食肉製品
乾燥食肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。
a くん煙又は乾燥は,製品の温度を20°以下若しくは50°以上に保持しながら,又はこれと同等以上の微生物の増殖を阻止することが可能な条件を保持しながら水分活性が0.87未満になるまで行わなければならない。
なお,製品の温度を50°以上に保持しながらくん煙又は乾燥を行う場合にあつては,製品の温度が20°を超え50°未満の状態の時間をできるだけ短縮して行わなければならない。
b くん煙又は乾燥後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。
2.非加熱食肉製品
非加熱食肉製品は,次のいずれかの基準に適合する方法で製造しなければならない。
a 肉塊(食肉(内臓を除く。)の単一の塊をいう。以下同じ。)のみを原料食肉とする場合
@ 製造に使用する原料食肉は,と殺後24時間以内に4°以下に冷却し,かつ,冷却後4°以下で保存したものであつて,pHが6.0以下でなければならない。
A 製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。
B 製造に使用する原料食肉の整形は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。
C 亜硝酸ナトリウムを使用して塩漬けする場合には,次の方法により行わなければならない。
イ 食肉の塩漬けは,乾塩法,塩水法又は一本針を用いる手作業による注入法(以下「一本針注入法」という。)により,肉塊のままで,食肉の温度を5°以下に保持しながら,水分活性が0.97未満になるまで行わなければならない。ただし,最終製品の水分活性を0.95以上とするものにあつては,水分活性はこの限りでない。
乾塩法による場合には,食肉の重量に対して6%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せ及び200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを用いて,塩水法又は一本針注入法による場合には,15%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せ及び200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを含む塩漬け液を用いて行わなければならない。
なお,塩水法による場合には,食肉を塩漬け液に十分浸して行わなければならない。
ロ 塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には,5°以下の飲用適の水を用いて,換水しながら行わなければならない。
ハ くん煙又は乾燥は,肉塊のままで,製品の温度を20°以下又は50°以上に保持しながら,水分活性が0.95未満になるまで行わなければならない。ただし,最終製品の水分活性を0.95以上とするものにあつては,水分活性はこの限りでない。
なお,製品の温度を50°以上に保持しながらくん煙又は乾燥を行う場合にあつては,製品の温度が20°を超え50°未満の状態の時間をできるだけ短縮して行わなければならない。
D 亜硝酸ナトリウムを使用しないで塩漬けする場合には,次の方法により行わなければならない。
イ 食肉の塩漬けは,乾塩法により,肉塊のままで,食肉の温度を5°以下に保持しながら,食肉の重量に対して6%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せを表面の脂肪を除く部分に十分塗布して,40日間以上行わなければならない。
ロ 塩漬けした食肉の表面を洗浄する場合には,飲用適の冷水を用いて,換水しながら行わなければならない。
ハ くん煙又は乾燥は,肉塊のままで,製品の温度を20°以下に保持しながら,53日間以上行い,水分活性が0.95未満になるまで行わなければならない。
E くん煙又は乾燥後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。
b 肉塊のみを原料食肉とする場合以外の場合
@ 製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。
A 製造に使用する原料食肉の整形は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。
B 製造に使用する原料食肉は,長径が20mm以下になるように切断しなければならない。
C 食肉の塩漬けは,食肉(骨及び脂肪を除く。)の重量に対して3.3%以上の食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せ及び200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを用いて行わなければならない。
D 塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には,5°以下の飲用適の水を用いて,換水しながら行わなければならない。
E くん煙又は乾燥は,製品の温度を20°以下に保持しながら20日間以上行い,pHが5.0未満,水分活性が0.91未満(製品の温度を15°を超えて,くん煙し,又は乾燥させる場合には,pHが5.4未満かつ水分活性が0.91未満)又はpHが5.3未満かつ水分活性が0.96未満になるまで行わなければならない。ただし,常温で保存するものにあつては,pHが4.6未満又はpHが5.1未満かつ水分活性が0.93未満になるまで行わなければならない。
F 次のイからハまでに掲げる場合にあつては,Cの食塩,塩化カリウム又はこれらの組合せの使用及びEのくん煙又は乾燥の期間は適用しない。
イ 次の表の第1欄に掲げる食肉の中心部を,同表の第2欄に掲げる温度の区分に応じ,同表の第3欄に掲げる期間冷凍し,又はこれと同等以上の効力を有する方法により冷凍したものを原料食肉として製品を製造する場合
第1欄
第2欄
第3欄
厚さが150o以下の食肉
−29°以下の温度
6日
−29°を超え−24°以下の温度
10日
−24°を超え−15°以下の温度
20日
厚さが150oを超え675o以下の食肉
−29°以下の温度
12日
−29°を超え−24°以下の温度
20日
−24°を超え−15°以下の温度
30日
ロ その中心部を次の表の第1欄に掲げる温度の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる時間加熱し,又はこれと同等以上の効力を有する方法により加熱した食肉を原料食肉として製品を製造する場合(食肉の温度が20°を超え50°未満の状態の時間が120分以内である場合に限る。)
第1欄
第2欄
50°
580分
51°
300分
52°
155分
53°
79分
54°
41分
55°
21分
56°
11分
57°
6分
58°
3分
59°
2分
60°
1分
63°
瞬時
ハ 製品の水分活性が0.91未満となるように製造する場合
G くん煙又は乾燥後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。
3.特定加熱食肉製品
特定加熱食肉製品は,次の基準に適合する方法で製造しなければならない。
a 製造に使用する原料食肉は,と殺後24時間以内に4°以下に冷却し,かつ,冷却後4°以下で保存した肉塊でpHが6.0以下でなければならない。
b 製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。
c 製造に使用する原料食肉の整形は,食肉の温度が10°を超えることのないようにして行わなければならない。
d 食肉の塩漬けを行う場合には,肉塊のままで,乾塩法又は塩水法により行わなければならない。
e 塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には,5°以下の飲用適の水を用いて,換水しながら行わなければならない。
f 製造に調味料等を使用する場合には,食肉の表面にのみ塗布しなければならない。
g 製品は,肉塊のままで,その中心部を次の表の第1欄に掲げる温度の区分に応じ,同表の第2欄に掲げる時間加熱し,又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。この場合において,製品の中心部の温度が35°以上52°未満の状態の時間を170分以内としなければならない。
第1欄
第2欄
55°
97分
56°
64分
57°
43分
58°
28分
59°
19分
60°
12分
61°
9分
62°
6分
63°
瞬時
h 加熱殺菌後の冷却は,衛生的な場所において十分行わなければならない。この場合において,製品の中心部の温度が25°以上55°未満の状態の時間を200分以内としなければならない。
なお,冷却に水を用いるときは,飲用適の流水で行わなければならない。
i 冷却後の製品の取扱いは,衛生的に行わなければならない。
4.加熱食肉製品
加熱食肉製品は,次の規格に適合する方法で製造しなければならない。
a 製品は,その中心部の温度を63°で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法(魚肉を含む製品であつて気密性のある容器包装に充てんした後殺菌するものにあつては,その中心部の温度を80°で20分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法)により殺菌しなければならない。
b 加熱殺菌後の冷却は,衛生的な場所において十分行わなければならない。この場合において,水を用いるときは,飲用適の流水で行わなければならない。
c 加熱殺菌した後容器包装に入れた製品にあつては,冷却後の取扱いは,衛生的に行わなければならない。
5.この目の(2)の1.,2.,3.及び4.に規定する以外の方法により塩漬け,くん煙,乾燥又は殺菌を行い食肉製品を製造しようとする場合並びにこの目の(2)の1.,2.,3.及び4.に規定する以外の方法により塩漬け,くん煙,乾燥又は殺菌を行つた食肉製品を輸入しようとする場合には,厚生労働大臣の承認を受けなければならない。


3 食肉製品の保存基準
(1) 一般基準
1.冷凍食肉製品(冷凍食肉製品として販売する食肉製品をいう。)は,−15°以下で保存しなければならない。
2.製品は,清潔で衛生的な容器に収めて密封するか,ケーシングするか,又は清潔で衛生的な合成樹脂フィルム,合成樹脂加工紙,硫酸紙若しくはパラフィン紙で包装して,運搬しなければならない。
(2) 個別基準
1.非加熱食肉製品
非加熱食肉製品は,10°以下(肉塊のみを原料食肉とする場合であつて,水分活性が0.95以上のものにあつては,4°以下)で保存しなければならない。ただし,肉塊のみを原料食肉とする場合以外の場合であつて,pHが4.6未満又はpHが5.1未満かつ水分活性が0.93未満のものにあつては,この限りでない。
2.特定加熱食肉製品
特定加熱食肉製品のうち,水分活性が0.95以上のものにあつては,4°以下で,水分活性が0.95未満のものにあつては,10°以下で保存しなければならない。
3.加熱食肉製品
加熱食肉製品は,10°以下で保存しなければならない。ただし,気密性のある容器包装に充てんした後,製品の中心部の温度を120°で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌したものにあつては,この限りでない。